「子どものお着替えって、いつまで手出ししていいの?」
「なかなか着替えてくれずに困っている」
こんなお悩みをお持ちではありませんか?
子どものお着替えは、毎日繰り返し取り組んでいくことで少しずつできるようになります。
一人でスムーズにお着替えができるようになるには、発達段階に応じたサポートが必要です。
サポートと言われても、保育士になりたての頃は何をどうサポートしたらいいのやら・・・状態で悩むこともありますよね(笑)
実際に私もそうでした!
この記事では、現役保育士が子どもの年齢別にお着替えに必要なサポートや教え方のコツ、子どもがお着替えを嫌がるときの対処法をお伝えします。
子どもが自分で着替えられるようになるのはいつから?
子どもが「服を取り出して着る」「脱いだ服を片付ける」というお着替えの一連の動作がひとりでできるようになるのは、5歳頃。
シャツがズボンからはみ出ていたり、ボタンを掛け違えていたりすると「〇〇君、お着替え間違えているよ」「私がやってあげる」とお友達同士で指摘し合ったり、直しあったりする姿もみられるようになります。
こどもB君、ボタン間違えてるから私がやってあげるよ
必死にボタンを掛けなおしてあげる・・・
わー!ありがとう!!
こんな微笑ましい光景を目にすることができます(笑)
すかさず「こどもAちゃんボタン上手になったね!!」と褒めると、とても嬉しそうな様子を見せてくれます。
また、寒いから上着を着る、暑いから脱ぐといった気温や自分の状態に合わせた衣服の調整や、服が汚れたら着替えるといった判断も徐々にできるようになる時期です。
今からお散歩に行きます。外は寒そうだねー・・・
寒そうだから、もう一枚着て行ったほうがいいね
「寒そうだねー」という声掛けをすると、「もう1枚着て行ったほうがいいね」と自分で判断して周りに伝えてくれる子どももいます。
声掛けではなかなかピンとこない子どもも、周囲の様子を見て気づき、上着を着用。
「〇〇君、先生は言ってないのに自分で上着を着ることができたんだね」
と褒めると
「寒いから着たほうがいいもん」
と自信満々に応えてくれます(笑)
【子どもの年齢別】お着替えの習慣と教え方のポイント
次に、子どもの年齢別のお着替えの習慣と教え方のポイントについて解説します。
6ヵ月未満のお着替え
6ヵ月未満の時期は、大人が全て着替えさせます。
ただ、作業的に着替えさせるのではなく、「あら!汚れちゃったね。今から着替えようね」「着替えたらスッキリ!気持ちがいいね」「〇〇ちゃんのおむつをキレイにするよー」などと話かけながら行い、”清潔にすることで気持ちがよくなる”ということを声かけで伝えましょう。
子どもの肩や股関節は脱臼しやすいため、着替えさせる際には腕や足を引っ張らないようにしましょう。
服を着せる際は、軽く腕を抑えた状態で服を動かせるとよいです。
また、おむつ替えの際には、お尻の下に手を入れ腰から持ち上げましょう。
そして、着替えはなるべく同じ場所で行うことで、子どもが「今から着替える」という感覚をもてるようになります。
この頃の着替えはスキンシップの時間でもあるため、声かけや歌を歌ったりふれあい遊びも交えることで着替え=心地よいと感じられるような楽しい雰囲気をつくりましょう。
引用:ベビールームままのて☆
引用:さらまるっと
6ヵ月~1歳頃のお着替え
6ヵ月ごろになるとだんだんと生活のリズムが整ってきます。
服が汚れた時だけでなく、朝起きた時、食事の後など生活の節目のタイミングに着替えることで、着替えの習慣を身に付けられるようにしましょう。
「ご飯食べて汚れちゃったから着替えようか」
「(お昼寝あと)おはよう!汗びっしょりだから、着替えてキレイキレイしようね」
など、なぜ着替えるのかも伝えながら、着替えさせてあげましょう♪
言葉の理解が進んでくる時期でもあるため、「次は腕を通すよ」「頭から脱ごうね」など具体的な声かけをすることで着替えのイメージがもてるようになります。
発達のスピードは子どもによって違います。
子どもの体の発達段階に合わせて、寝かせる、お座りさせるなど無理のない体勢で着替えさせましょう。
1歳~2歳未満のお着替え
1歳3ヵ月ごろからだんだんと着替えに興味をもつようになります。
「バンザイしてお洋服を脱ごうか」と伝えるとその通りにするなど、着替えに協力的な姿も。
自分1人で着替えることはまだ難しいですが、「自分で着替えたい」という気持ちが芽生える時期でもあります。
子どもの意欲を尊重しながら、着替えやすいようなサポートをしてあげましょう。
いくつか服を準備しておき、その中から自分で選ばせることで”着替えに参加している””自分で着替えている”という気持ちになれます。
着替えを取って来る→服を脱ぐ→上の服を着る→・・・→たたむ→片付けるのように、毎日同じ手順で着替えるのがおすすめです。
また、服を片付ける場所も一か所に決めておきましょう。
毎日同じ手順を繰り返すことで、着替えの手順を覚え少しずつ自分で出来るようになります♪
着る服を自分で取ってくるのも、お着替えの大事な工程です。
「お洋服を取ってこようか」「お着替え終わったから、お洋服をおカバンにしまおうか」
と声をかけながら近くで見本を見せてあげましょう!
服の保管場所が一定ではなく分かりづらかったり、引き出しが固く取り出しにくかったりすると、やる気がなくなってしまいます。
大人でもギュウギュウに服が詰まった引き出しだと、どこに何があるのか分からなかったり、取り出す・片付けるのが面倒になってしまうこともありますよね。
保育園だと個人のロッカーを設置しているところが多いです♪
文字がまだ読めないので、マークやお顔、動物のシールなどを貼り付けておき自分のロッカーが分かるように工夫しています。
そしてこの時期は、靴下のつま先部分だけ自分で脱がせてみる、ズボンをできるところまで持ち上げさせてみるなど、子どもと一緒に着替えることを意識してサポートしましょう。
実際に私がやっていたお着替えのサポート例を紹介します。
着替えに興味が湧いてくる時期ではありますが、まだまだできることが少なく子どもにとってももどかしい時期でもあります。
自分で着替えをすることを強制するのではなく、うまく着替えられなくても頑張っている姿を認めたくさん褒めてあげましょう。
2歳頃のお着替え
2歳頃になると、これまでと比べてより「自分でやりたい」という気持ちが強くなります。
「イヤイヤ期」「魔の2歳児」という言葉もあるように、お着替えだけでなく何をするにも「イヤ!」「自分で!!」。
お手伝いをすると怒ってしまったり、嫌がってしまうこともしばしば。
しばらく様子を見ていると、ひっくり返った服が裏返せなかったり、手足を出す位置が分からなくなったり・・・
しまいには、「先生のせいだ!!」と理不尽に当たってきたり、騒ぐ、泣きわめくなど癇癪を起してしまったり。
ついついため息をつきたくなるような場面も(笑)
一方で、甘えたい気持ちもあり全く自分でしようとしないときもあります。
これまでと変わらず、毎日同じ手順で着替えを繰り返していきましょう。
ズボンや上の服それぞれ服の着脱の仕方を細かく区切って確認しながら教えていくと、さらにお着替えが上達します。
上手くできずに泣いたりかんしゃくを起こしてしまった時、けなしたり注意したりするのはNGです。
かんしゃくを起こしている場面では、あまり構い過ぎず遠くから様子を見守り落ち着いたタイミングで声をかけるのがおすすめ。
癇癪を起し自分の中に溜まったモヤモヤやもどかしい気持ちを発散させることができると、子どものほうから次のアクション(大人に声をかける、着替えに再チャレンジなど)に移ることがほとんど。
「ここが難しかったの?」
「こうしたら上手くできるよ」
など気持ちが落ち着いてから、尋ねたりやり方を伝えると子どもの耳にもよく届きます♪
サポートする際には、「ここを手伝ってもいいかな?」と確認をすると、すんなり応じてくれることも多いです。
「正しく服に手を通せたね」「自分でお片付けできたね」「お着替え頑張っているね」と子どもの今の様子を言葉にして伝えることで、達成感を味わうことができます。
子どもが興味を持ち始めたら、大き目のボタンのおもちゃや大きなボタンが付いた服を使って練習をするのもおすすめです♪
3歳頃のお着替え
3歳頃になると、大人が手を出さずとも声をかけるだけで着替えの動作ができるようになってきます。
自分でできることが増え、だんだんと自分に自信がもてるようになる時期でもあります。
自分で着替えができた際には
お着替え上手にできるようになったね♪
と、すかさず褒めてあげると
うん!もう3歳だもん!!
と自信たっぷりに返してくれる場面もよくみられます。
ただ、過度にできたことを褒めすぎてしまうと、不安を感じやすい子どもにとっては逆効果になることも。
「失敗したらどうしよう」という思いから、挑戦することをためらってしまうケースもあるため注意しましょう。
子どもの様子を見ながら、どういった褒め方、接し方が合うのかを掴むのにはじめは苦労します・・・
ただ、関わっていく中で少しずつ分かってくるので、焦らず子ども1人1人とゆっくり向き合っていきましょう。
(忙しすぎて1人1人と丁寧に向き合うことが難しいこともありますが・・・)
着替えの一連の流れができるようになったら、1人で服を持ってくる・片付けるという動作も行わせることで自立を促します。
この時期になると排泄の自立も進んでくるため、トイレでの衣服の着脱の仕方や、服の裾を持ち上げるなどのポイントも教えてあげましょう。
手先の動きもスムーズになってくるため、ボタンに加えファスナーの閉め方なども教えてみましょう♪初めは大人が手を添えて一緒に行い練習するのが上達のコツです!
4歳頃
4歳頃になるとさらに着替えも上手になり、大人が手伝わなくても着替えをほぼ一人でできるようになります。
ただ、服の前後や裏表、靴の左右など細かな部分に気づかないことも。
これまでの成功体験から「自分はできる」という自信をもっているため、「間違っているよ」とすぐに指摘してしまうと自尊心を傷つけてしまいかねません。
「自分で気づく」ことを優先しつつ、気づかない場合は「あれ?何かおかしくない?」「タグ(目印はどこ?]などと声かけをすることで、確認するきかっけをつくってあげましょう。
保護者にお願いして、洋服のタグの部分にイラストやシール、名前を記入してもらい目印にするのもおすすめです♪
シールどこにあるー??
あ!シールは後ろになきゃダメだ!!
「前後ろ反対だよー」と伝えても、「間違えてない!!」と頑なに着用の間違えを認めない子どもでも、間接的に伝えるとすんなりと着直してくれることもよくあります。
また、気温や自分の状態に合わせて服の調節をすることも伝えていく時期です。
「暑いから脱いで」と促すのではなく、子どもが自分の感覚判断し衣服の調整ができるよう「少し汗をかいているね」「お外は風が強く吹いているから寒そうだね」など着脱のきっかけになるような声かけをしましょう。
全身のバランスも徐々に整ってくる年頃です。立ってズボンをはく練習もしていきましょう。
5歳頃のお着替え
5歳頃になると、服の着脱はもちろん、服を取り出す・片付けるといった着替えの一連の動作が自分でできるようになります。
気温に合わせた衣服の調整や、着衣の乱れにもだんだん自分で気づけるように。
まだ完璧ではないため、本人の気づきを待ったうえでどうしても気づかない場合は、「ちょっと暑いね」「あれ?何かおかしくない??」などさりげなく声をかけてあげましょう。
5歳頃になると常識への理解もすすむため、「きたない恰好をしていると、まわりもイヤな気持ちになってしまうよ」など身だしなみの大切さやマナーを守ることの重要性も分かりやすく伝えてみてください。
鏡をみながら、自分でチェックをする習慣をつけるのもおすすめです。
手先もより器用になってくるため、リボン結びの練習もしてみましょう♪
子どもがスムーズにお着替えできるようになるコツ
次に、子どもがスムーズにお着替えできるようになるコツをお伝えします。
- 着脱しやすい服を用意する
- 見守っていることを伝える
- 手を出す前に、声掛けで気づきを促す
- 褒めることで自信をつける
- 着替えに集中しやすい環境を整える
- 「お着替え」がテーマの本を一緒に読む
着脱しやすい服を用意する
スムーズに着替えられるよう、着脱しやすい服を用意しましょう。
伸縮性がなかったり、生地がしっかりとしたつくりの服は見た目は良いものの、子どもにとっては着脱しにくい場合があります。
生地の固い洋服を一生懸命脱ごうとしてもなかなか腕が抜けず、泣き出してしまう子もしばしば・・・
このお洋服は固くて脱ぎにくいね。先生でも難しいかも!!
こんな感じで伝えて、子どもが自信を失わないよう対応しています。
着替えに慣れないうちは、柔らかくて着替えやすい機能性の高い服を用意してあげましょう。
見守っていることを伝える
着替えを覚え始めた2歳~4歳頃はとくに、自分で着替えたい気持ちと上手くいかない現実にイライラとしてしまう様子がみられることも。
イライラしている様子をとがめたり、急かしたりしてしまうと子どものやる気も無くなってしまいます。
「ゆっくりでいいよ」「いつもこういう順番でやっているよね」と声をかけることで、「もう一度やってみよう」「頑張ってみよう」という前向きな気持ちになれますよ。
手を出す前に、声掛けで気づきを促す
服装の乱れや、表裏、前後の間違い、上手く衣服を着ることができないなどがあっても、すぐに手を出すのは控えましょう。
ついつい手をだしたくなってしまうこともありますよね・・・
子どもの自立を促すためにも、「自分で気づくこと」を優先しながら、どうしても気づけない時にはきっかけとなるような声かけをしてください。
特に、着替えの一連の動作ができるようになっても、服の表裏や左右の間違いは時折見られます。
予め、服の内側にアイロンシールやスタンプなどの目印を貼っておき正しく着用できるような工夫をしておくのもオススメです。
褒めることで自信をつける
褒められ「自分でできた!」という感覚を味わうことで、子どもはどんどん自信をつけ前向きになれます。
「早くしなさい」「〇歳だからできるでしょ」
など急かす言葉や、過大評価をしては「着替え」が嫌いになりかねません。
1人で上手に着替えができた時はもちろん、上手く着替えができなかった時も、できた部分を認め、褒めてあげましょう。
着替えに集中しやすい環境を整える
着替える際には、着替えに集中しやすい環境を整えてあげましょう。
「お着替え」がテーマの本を一緒に読む
お着替えを身近に感じたり、お着替えへの意欲を引き立てるためにお着替えがテーマの絵本を一緒に読むのもおすすめです。
子どもが着替えを嫌がるときの対処法
次に、子どもが着替えを嫌がるときの対処法をご紹介します。
- 自分で服を選ばせる
- 着替えのタイミングを事前に予告しておく
- 着替えの何を嫌がっているのか見極め必要に応じてサポートする
自分で服を選ばせる
数種類の服を用意しておき、その中から自分で選ばせるのがおすすめです。
特に1歳半から2歳ごろまでは、「何でも自分でしたい!」と自己主張が強まる時期でもあります。
コーディネートはハチャメチャになってしまうこともありますが・・・
このくまさんのお洋服とパンダさんのお洋服どっちにするー??
〇〇ちゃん(私)、パンダさんが好きだから今日はパンダさんのお洋服!
自分で選んだ服なら着替えもスムーズにできる子どもも少なくありません♪
その後も、事あるごとにに「お洋服パンダさんだよ♪」と嬉しそうに報告にきてくれる微笑ましい光景もみられます。
着替えのタイミングを事前に予告しておく
まだまだ気持ちの切り替えが苦手な時期でもあります。
特に楽しいことをしている時に着替えを促されたり、寝起きで機嫌が悪かったりと着替えに気持ちを向けられず、着替えを拒んでしまうことも。
着替えない!!イヤ!!!!!!!!
〇〇君お着替えは、イヤなんだねー
(ここで着替えさせておかないと、後々の仕事に響く・・・)
保育士の腕の見せどころです(笑)
事前に、「長い針が〇になったら着替えるよ」「ご飯を食べたら、着替えるよ」とタイミングを予告してみましょう。
寝起きで機嫌が悪い場合は、無理やり一人でやらせようとしないのも一つの手です。
今日はお着替え嫌な日なんだねー!よーし、じゃあ今日は先生がお手伝いしてもいいかな??
服を頭からかぶせてあげて、手だけ通してもらう、靴下のつま先だけ履かせてあげるなど状況に応じてお手伝いしてみましょう♪
着替えの何を嫌がっているのか見極め必要に応じてサポートする
年齢が小さいうちは特に、気持ちを言葉で伝えることが難しいもの。
お着替えを嫌がる理由は「お着替え自体が嫌いなのか」「その他に何か理由があるのか」を見極めましょう。
着替えを嫌がる理由の一つとして、服の肌触りや締め付けが苦手な場合もあります。
肌の感覚が過敏な子どもは、あまり気にならないような服のごわつきや、タグなどが痛く感じてしまいます。
無理やり着せるのはかわいそう・・・
嫌がることが続くようなら、保護者にお願いして締め付けの少ない衣服や子どもの感覚に合った服(子どもが好んで着用している服)を選んでみるのもおすすめです。
まとめ:【子どもの着替え】いつから自分でできる?着替えが上手になるコツや教え方を解説
この記事では、現役保育士が子どもの年齢別にお着替えに必要なサポートや教え方のコツ、子どもがお着替えを嫌がるときの対処法について解説しました。
着替えの習慣を身につけるには、同じ手順で繰り返し練習することが最も重要です。
子どもが着替えは「楽しい時間」だと感じられるよう、自信をもてるような声かけや、できていることを具体的に褒めてあげましょう。
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