「保育士だけど、認可保育園と認可外保育園の情報を整理したい」
「働くなら、認可保育園、認可外保育園どちらがいいの?」
こんなお悩みを解決します。
保育施設は大きく”認可保育園”と”認可外保育園”の2つに分かれます。
”認可保育園””認可外保育園”という言葉をよく耳にしますが、いったいどんな違いがあるのか、どういったメリット・デメリットがあるのでしょうか。
この記事では、現役保育士が認可保育園と認可外保育園の違い、それぞれのメリット・デメリットまで徹底解説します。
認可保育園・認可外保育園って?
保育施設は「認可保育園」と「認可外保育園」の大きく2つに分類されます。
さらに、「認可保育園」は6種類、「認可外保育園」は2種類。
数が多くて分かりづらいですよね・・・それぞれに当てはまる施設を下にまとめました。
はじめに、認可保育園と認可外保育園とは一体どういった施設なのか、それぞれのメリット・デメリットについて解説します。
認可保育園とは?メリット・デメリット
認可保育園とは、「国が定めた設置基準(人員配置や施設の広さ・設備、給食の有無など)を満たしていること」を都道府県知事に認められた園のこと。
100名を超える大規模園から3歳未満の子どもをメインに預かる小規模保育園、事業所内保育所、幼稚園と保育園の機能が一体となった認定こども園など大きく6種類の施設があります。
国の基準をクリアしている園なので、施設の設備面や保育士の人数などは整っていますが・・・
全ての園が”良い園”であるとは限りません。
私の友人が過去に働いていた認可保育園は、園長が保育現場の素人であるにも関わらず、保育にあれこれ口出しをするのが日常だったようで・・・
おかげで働く保育士は園長の間違った方針に合わせたり、辞めていったりする人も多かったそうです。
また、歴史の長い園では、勤務歴の長い保育士の天下になりやすい傾向も・・・
保育士は、まだまだ女の世界なので恐ろしいです(笑)
ちなみに、友人は転職後も認可保育園を選びました。
お給料面や待遇についてちょっと聞いてみました・・・
【給料】月額20万円~23万円(残業時間によって異なる)
【ボーナス】2ヵ月分
【福利厚生】給食費タダ、エプロン貸与、住宅借り上げ制度(上限8万円)、バースデー休暇 など
お給料については若干ぼかされました(笑)
福利厚生面を見ると、私もこの園に転職したくなりました!!
それぞれの施設がどういった施設なのか、メリット・デメリットについてはこちらの記事をご参考にしてください。
認可保育園(認可施設)のメリット・デメリットは下記のとおりです。
認可保育園は、転職エージェントや自治体の保育士転職サービスを利用することで無料で探すことができます。
自治体の保育士転職サービスでは、保育士資格を持っているけど、働いた経験が少ない、現場を長く離れているから不安・・・という方向けに講習を行うこともあります♪
【参考】
認可外保育園とは?メリット・デメリット
認可外保育園とは、乳児そして幼児を保育するための施設で、都道府県知事の認可を受けていない保育園を指します。
「認可を受けていない」と聞くと、少し不安に感じる方もいるかもしれません。
ただ、認可外保育園にも”設置基準”というものがあり、建物や人員配置など認可保育園よりも緩やかながら、基準が定められています。
保育内容や保護者の就労の有無を問わない点から、”あえて”認可外保育園を選ぶ家庭も。
認可外保育園には、自治体独自の基準をクリアしている認証保育園やベビーホテル、企業などが自社の従業員の子どもを預かる目的で設置する企業主導型保育園などがあります。
認可外保育園は認可保育園と違い、細かな決まり事や暗黙の了解が少なく自由に働ける場合も。
私の友人は認可保育園で働いていたころ、”新人は30分早めに出勤して掃除をする”や”有給は許可が無いと取れない、取った翌日は全ての保育士にお礼を言って回る”などの暗黙の了解があったと話していました・・・
認可外保育園に転職してからは、勤務歴の長さに関わらずみんなフラットな関係性で、変に気を回すことなく働けるようになったそうです。
ちなみに、認可外保育園は、認可保育園に比べて保育料が高額になりがち。
保育料については、助成制度があり、上限を超える部分を保護者が負担します。
- 3歳~小学校就学前 月額3万7,000円まで
- 0歳~2歳 月額4万2,000円まで(住民税非課税世帯に限る)
高い保育料を払ってでも、「子どもを預けたい」という保護者がいるからこそ運営が成り立っています。
認可保育園・認可外保育園の違いが知りたい
次に、認可保育園と認可外保育園の違いについて解説します。
- 違いその1:利用条件
- 違いその2:保育環境
- 違いその3:給食
- 違いその4:利用料
- 違いその5:申し込み
違いその1:利用条件
認可保育園と認可外保育園では利用条件が異なります。
認可保育園は、市町村が定めた保育の必要性を満たしている場合に利用できます。
一方で、認可外保育園は市町村の認定がなくても、誰でも利用できるのが違いです。
保護者が自宅にいても子どもを預けることができます♪
認可外保育園であれば、空きさえあればどの家庭でも利用できます。
【保育の必要性とは】
保育が必要な事由 | 条件 |
就労 | フルタイム、パートタイム、夜間などに仕事をしている場合 (週に3回、1日4時間など短時間勤務の場合は入園できないケースもある) |
妊娠・出産 | ・産前産後合わせて3ヵ月間 ・妊娠による体調不良で就労できる医師からの診断があった場合 |
保護者の疾病・障害 | 保護者が病気やケガで療養している場合(精神的な病気も含む) |
親族の介護・看護 | ・子どもの兄弟姉妹に病気や障害があり、慢性的に看護が必要な場合 ・同居する親族が長期入院、入所し看護や介護が必要ば場合 |
災害復旧 | 仕事や地域の活動で、自宅やその近隣域内の復旧にあたっている場合 |
求職活動(起業準備含む) | ・就労する意志があり、求職活動に専念している場合 |
就学・職業訓練校 | ・大学、短期大学、高等学校に通っている場合 ・職業能力開発施設において職業訓練を受けている場合 |
虐待やDVの恐れがある | 精神的な病気や疾病などで虐待やDVのおそれがある場合 |
育児休業中の在園児の継続利用 | 上の子が保育園に通っていて、継続的に利用したい場合 |
その他、上記に類する状態 として市町村が認める場合 | 上記に当てはまらないが、親が子どもを保育できない理由がある場合 |
認可保育園に空きが出るまで、認可外保育園に子どもを預ける保護者もいます。
違いその2:保育環境
認可保育園は施設設備や保育士の人員配置など厚生労働省の定める基準を満たし、保育所保育指針に沿って運営されています。
そのため、決められた水準以上の保育環境が整っています。
一方で、認可外保育園は認可保育園よりも基準が緩いため、なかには施設が狭かったり、調理室の設置が無かったり、保育方針が明確に定まっていない園も。
もちろん、認可保育園とほぼ変わらない水準の園も多数あります!
ただ、「認可=良い」というわけではありません。
認可保育園の中にも、待遇や労働環境のせいで職員の入れ替わりが激しく経験の少ない新人ばかりが働いている園も。
家族経営の私立の認可保育園で働いていた私の友人は、時間外の研修は当たり前、自宅に帰ってからも書類作成や製作に追われる毎日に耐えられず退職しました。
園の内部事情を全て知ることは難しいですが・・・
「施設がピカピカで見た目の環境が整っている」というだけで認可保育園を選ぶのではなく、職員の雰囲気や表情、子どもとの関わり方、園長の態度などもよく見てから決めましょう!
違いその3:給食
認可保育園では、児童福祉法により栄養バランスの取れた食事を提供することが義務づけられているため、給食の提供があります。
一方、認可外保育園は施設での調理が原則とされていますが、その半数が園に調理室を設置しておらず、弁当の持参や外部搬入などに頼っているようです。
認可外保育施設の給食(昼食)の状況を見ると、半数は自園調理を行っているが、2割は外部搬入、2割は弁当
引用:厚生労働省「認可外保育施設の水準(調理室)」
持参となっており、認可外保育施設の半数は調理室を有していない可能性が高い。
私が求職活動中に見学に行った認可外保育園では、調理室の設置がなく昼食は仕出し弁当、おやつは市販のお煎餅やプリンという園がありました。
もちろん、こういった認可外保育園ばかりではなく、調理室を完備し食事もおやつも手作りという園も。
保育園の食事はたんなる栄養補給ではなく、食文化に触れたり、さまざまな調理方法で作られた食べ物を通して食べる経験を増やしたりとねらいはさまざま。
認可保育園では、調理室の設置が必須。
食事もおやつも基本的に手作りです♪
違いその4:保育料
認可保育園の保育料は、2019年10月より制度開始した「幼児教育・保育の無償化(幼保無償化)」により、3歳~5歳の子どもは無料です。
0歳~2歳の子どもについては、幼保無償化の対象外となり世帯所得や子どもの人数、年齢によって決まります。
一方、認可外保育園の保育料も「幼児教育・保育の無償化(幼保無償化)」により、3歳~5歳の子どもは上限額内(月額3万7,000円)であれば無料です。
上限を超えてしまうと、超えた分の支払いが発生します。
0歳~2歳の子どもについては、住民税非課税世帯に限り月額4万2,000円まで補助が出ます。
子ども家庭庁の「令和4年地域児童福祉事業等調査結果」によると、認可外施設を利用する児童一人の1世帯あたりの月額利用料は7万円以上が最も多くを占めているようです。
違いその5:入園の申し込み先
認可保育園は、市町村へ「保育の必要性」の認定の申請と一緒に、入園の申し込み書類を提出します。
希望する園が複数個所ある場合も、市町村の窓口で一括で申し込みが可能です。
一方、認可外保育園は直接施設に申し込みます。
認可外保育園は園ごとに提出が必要な書類や、入園に際する選考基準などが異なります。
認可外保育園にはどんな施設がある?
認可外保育園には次のような施設があります。
- 認証保育園
- 無認可保育園
- 院内保育園
- 企業主導型保育園
- ベビーホテル
認証保育園って?
認証保育園とは、施設の広さや人員配置基準など自治体独自の基準を満たした保育園を指します。
認証保育園はA型とB型の2つに分かれます。
【A型】
対象:0歳~小学校就学前
定員:20人~120人
【B型】
対象:0歳~2歳
定員:6人~29人
「認証保育園」は東京都独自の制度ですが、名称は異なるものの下記のように自治体独自の規定で運営されている保育園も存在します。
認証保育園の数は少な目!
駅から徒歩10分以内の場所に設置されていることが多く、通勤に便利です。
また、お給料面でも初任給で20万円以上の園が多く、中には上記のように高めに設定されているところもあります。
宿舎借り上げ制度を利用できる園もあるため、家賃も抑えられさらにお得です♪
宿舎借り上げ制度については、こちらの記事を参考にしてみてくださいね。
- 神奈川県横浜市・横浜保育室
- 埼玉県さいたま市・ナーサリールーム、家庭保育室
- 宮城県仙台市・せんだい保育室
- 静岡県浜松市・認証保育園
- 大阪府堺市・認証保育園
無認可保育園とは?
都道府県知事の認可を受けていない保育園のこと。
英語やリトミック、スポーツ、楽器など習い事のような園独自のプログラムの提供を行っているところもあります。
ただ、認可保育園よりも設置基準が緩いため、園ごとで施設や提供している保育の質に差が出ることも。
園を見学した際に、施設の環境や保育士の様子をよくチェックしておきましょう。
転職エージェントを活用すると、その場では知ることの出来なかった、働く保育士の人間関係や園長の人柄などの内部場を教えてもらうことができます。
働いてみたい無認可保育園があるけど、不安・・・という方は転職エージェントを通してみるのもおすすめです。
お給料に関しては、他の認可外保育園と大差なく、初任給で20万円以上貰える施設が多いです。
院内保育園って?
病院で働くスタッフの子どもを預かることを目的に、院内に設置されている保育施設です。
病院のスタッフ向けに設置されているため、変則的なシフトにも対応できるよう通常の保育園とは異なり24時間体制で運営されている施設も少なくありません。
私もしばらく働いたことがあります。
設置している病院にとっては、スタッフを確保できるメリット、保護者にとっては預け先があり明一杯働けるメリットがあり、まさにWin-Winな施設です。
2歳~3歳までの子どもに限定している施設も多いため、低年齢の子どもを中心にゆったりと保育したいという方におすすめ。
運動会や発表会など大きな行事が少ない傾向にあるので、発表会の衣装づくりや運動会の練習、制作物に追われて残業続き・・・ということはほとんどありません♪
お給料に関しては、初任給で20万円前後の園が多いようです。
ちなみに私は地方の院内保育所で働いていました!
お給料面は以下のとおりです。
【月々のお給料】約20万円
【ボーナス】2か月分
【その他】住宅手当(月々1万円)
夜勤などがある園は、さらにお給料が高くなります♪
企業主導型保育園って?
自社で働く従業員の子どもを保育することを目的に、企業が設置する保育園を指します。
自社の従業員の子ども専用のところもあれば、地域の子どもを受け入れている園も。
小規模園が多いかつ、0歳~2歳児をメインに受け入れている園が多いです。
行事の数も少ないため、通常の保育園よりもゆとりをもった働き方ができるでしょう。
企業主導型保育園で働く保育士は、設置する企業の社員として扱われることも多く、特に大企業では休暇や様々な手当など福利厚生の充実が期待できます。
ベビーホテルって?
ベビーホテルとは、「夜20時以降に子どもの保育を行っている」「宿泊を伴う」「一時預かりの児童が利用児童の中で半数以上」のいずれかに該当する保育施設のこと。
主に0歳~6歳の子どもを夜間、保護者に代わって保育します。
遊びの補助に加え、歯磨きや夜の寝かしつけ、入浴など通常の保育園とはまた違った業務も加わります。
夜勤がメインになるので、体力的に負担も大きい仕事です。
行事はもちろん、日々の日案や月案などの書類業務が無い施設も多いため、気持ちに余裕をもちながら、子どもと丁寧に向き合えますよ♪
お給料面については、基本給に加え、深夜・早朝手当が支給されます。
ただ、”ベビーホテル”と検索してもなかなか求人が出てきません。
ベビーホテルの求人を探す場合は、転職エージェントに相談してみたほうが手っ取り早いです♪
認可保育園と認可外保育園の違いに関するよくある質問
最後に認可保育園と認可外保育園の違いに関するよくある質問にお答えします。
認可外保育園のほうが安いってほんと?
世帯収入によっては、認可外保育園のほうが安くなることもあります。
国は、0歳~2歳児の認可保育園の保育料の上限額を10万4,000円と定めています。
自治体によっては、上限額をさらに低く設定しているところも。
一方、認可外保育園は世帯収入に関わらず毎月定額で保育を提供している施設も多いです。
施設によって保育料はことなりますが、「令和4年地域児童福祉事業等調査結果」によると、認可外保育施設の利用料は月額7万円以上という回答が最も多く、次いで月額3万円以上4万円未満という結果となっています。
そのため、認可保育園の保育料よりも安価な認可外保育園を選んだ場合は、認可外保育園の方が保育料が安くなることもあるというわけです。
認可外保育園で働くのは怖い?
認可外保育園の全てが怖いわけではありません。
認可外保育園は、都道府県知事の認可を受けていないものの、認可外保育園の設置基準は満たしています。
認可保育園に比べると基準が緩いですが、認可保育園と同等水準の保育を提供している施設は多数ありますよ。
ただ、施設ごとに質には差が出るため、一度ご自身で見学してみて安心できそうな施設を選びましょう。
認可保育園と認定こども園の違いって?
受け入れの対象が異なります。
認可保育園は、保育の必要な事由がある0歳~小学校就学前の子どもが対象です。
一方で、認定こども園は保護者の就労の有無に関わらず、希望する全ての0歳~小学校就学前の子どもを受けいれています。
どちらも「幼保無償化」が適用され、3歳~小学校就学前の子どもは保育料免除の対象です。
まとめ:認可保育園と認可外保育園の違いって?メリット・デメリットも徹底解説!
この記事では、認可保育園と認可外保育園の違いやそれぞれのメリット・デメリットを解説しました。
認可・無認可問わず、「通える範囲にあるのか」「希望の条件に合うのか」「子どもとの相性はどうか」など軸をもちながら一番いい園を選びましょう。
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