「子どもがなかなか話を聞いてくれない」
「子どもに伝わる声掛けの仕方を知りたい」
こんなお悩みをお持ちではありませんか?
そのお悩みは、”正しい伝え方”を学ぶことで解決できるんです。
この記事では現役保育士が実践して分かった、子どもに伝わる否定語から肯定語への言い換えテクニックを徹底解説します。
【保育士必見】否定語は肯定語に言い換えると子どもに伝わる
「お部屋は走らないで」
「そこには登らない!」
無意識のうちに子どもこんな伝え方をしていませんか?
忙しい保育の現場。私もこんな伝え方をしてしまうことがよくありました・・・
「伝えたのに、全然その行動をやめてくれない」「全く伝わっていない」
私も「私って毎日怒ってる?」「むしろ不適切な行動が増えてない??」と悪循環に陥り悩んでいました。
これは伝え方が無意識のうちに「否定語」になっていることが原因の1つかもしれません。
伝え方を「否定語」から「肯定語」に変えると、意図的に子どもの行動を変化させることができます。
伝え方を変えることに特別なスキルや保育経験は不要です。
また明日から、大好きな子どもたちの成長を見守りながら毎日を楽しく過ごすために一緒に学んでいきましょう。
私は、以下の本で言い換えについて学びました♪
否定語が子どもに伝わりにくい理由
否定語が子どもに伝わりにくい理由は次の2つです。
- 否定語は脳に伝わりにくいため
- どんな行動をとるべきか分からないから
1つずつ解説します!
否定語は脳に伝わりにくいため
脳科学の世界では、「脳は否定語を理解できない」と言われています。
正確には、理解はできるけど無意識のうちに「否定語」のほうがイメージとして頭に浮かんでしまうようです。
今、あなたは「ピンク色のパンダ」を想像していませんか?
「~しないで」という否定語を聞くと私たちの脳は次のように働きます。
①否定形(ピンクのパンダ)想像する
②否定形(ピンクのパンダ)を頭から消す
無意識のうちにどうしても、「否定形」をはじめに想像してしまうのです。
特に子どものうちは、物ごとを「だめだ」「よくない」と否定的に考え行動を抑制する”メンタルバリア”という脳の活動の働きが弱いため、はじめに受け取った情報が残りやすくなります。
「お部屋を走らないでね」
と伝えると、どうしても「お部屋を走る」というイメージが強く植え付けられてしまい、行動が変わらない、「お部屋を走ってはいけないことが伝わらない」というわけです。
「脳には否定語は伝わらない」ということは、保育士になりたての頃、私も知りませんでした。
これを知るまでは、目の前の行動に対してついつい、「〇〇しないで!」と口からでてしまっていました。
伝える→子どもには届かない→落ち込むの悪循環で自信喪失。
そんなとき、先輩保育士から「脳には否定語は伝わらない」という話を聞いて、自分の間違いに気づきました。
どんな行動をとるべきか分からないから
電車の中では大きな声を出さないでね
危ないからそこで遊んではだめ!
(どうしたらいいの?????)
この言葉だけでは、子どもはどんな行動をとるべきか分かりません。
大人であれば、
「電車の中では大きな声を出さない」=「静かに座っておく」
「危ないからそこで遊んではだめ」=「危なくないあの場所で遊ぶ」
とこれまでの経験から自分の取るべき適切な行動を考えることができますよね。
子どもは、この「経験」が少ないため”どんな行動が適切なのか”が分からないのです。
「子どもの目線に立つこと」って忙しかったり、慌てていたりすると分かっていても完璧に実践することが難しいこともありますよね。
私も自宅に帰ってから1人反省会をよくやっていました。
【保育に使える】子どもに伝わる否定語から肯定語への言い換え5選
次に、保育の現場や子育てにも使える否定語から肯定語への言い換え方をご紹介します。
おしゃべりばっかりしない→お話が上手だね。〇〇も上手にできるかな?
おしゃべりばかりして、目の前のことがなかなか進まない子どもにおすすめです。
「〇〇ちゃんはお話が上手だね。じゃあ、積み木も上手にこの箱の片付けられるかな?」
「〇〇ちゃんはお話聞くの楽しいな。ご飯を食べ終わったらまた聞かせてくれるかな?」
おしゃべりしたい気持ちを認めたうえで、適切な行動を教えてあげると上手くいくケースもあります。
また、公共の場面で静かにしてほしいときは、
「今から忍者になるよ」や口に手を当てるジェスチャーをしながら「シー」と小さめの声で伝えるのも効果的です。
はじめのうちはざわざわしている子どもたちも、大人の様子が気になりだし自然と静かになることもよくあります。
早くして→ゆっくりでいいよ、待ってるよ
マイペースで、物事をテキパキこなすことが苦手な子どもに対して、
「みんなに遅れてしまう」「このままだと時間が足りない」
焦って、子どもをせかすような声掛けをしてしまうこともありますよね。
ただ、プレッシャーを感じると焦ってしまい、余計にペースが遅くなってしまう子どももいるため、こういう時は「待ってるよ」「ゆっくりでいいよ」と肯定的な声掛けを試してみてください。
見ているとつい口出し・手出ししたりイライラしてしまったりするようなら、「終わったら教えて」と伝え、目の届く範囲で他のことをしておくのもおすすめです。
「もう少しで給食の時間だ」「これを早く済ませておかないと、後に響くな・・・」などついつい大人の都合で子どもを急かしてしまいたくなることもありますよね。
私は急かしたくなったら、「ここで1,2分縮めたところでどうしようもないか・・・」と心に言い聞かせるようにしています(笑)
案外、「ゆっくりやってね」と声をかけたほうが「急いで」と急かした時より早く済むこともよくあります。
どうして~するの!→こういう風にしようね、何があったの?
子どもでも大人でも「いけないと分かっていてもついやってしまう」ことってありますよね。
頭ごなしに「どうして~するの!」と注意してしまうと子どもは注意されたと萎縮してしまい、その後に諭されても保育士の言葉は耳に入らないことも。
私もついつい言ってしまっていたのですが、自分の思うような結果が出なかったため、言い方を変えてみることにしました。
例えば、教室内を走っている子どもに対して。
「どうして教室を走っているの!」と言っている保育士は、一見なぜ教室を走っているのか子どもに問いかけているように見えます。
しかし、心の中では「危ないから走ったらダメでしょ!」と怒っています。
言葉では子どもに問いかけているのに、心では怒っているというちぐはぐな状況が生まれてしまうため、大人にとっても子どもにとってもよい結果は生まれません。
私は、「どうして教室を走っているの!」を「教室は歩くようにしようね」に変えて繰り返し、伝えてみました。
するとある日、これまでいくら伝えても、教室を走り回ることが止められなかった子どもが、ピタッと止まり「そっか!」と歩き始めました。
その後は、時折走り回ってしまうこともあるのですが、「〇〇君!教室は??」とヒントをあげるだけで「そうだ、歩く!!」と走るのをやめることができるように。
この出来事は、の保育士人生の中でも記憶に残る出来事です。
また「何か慌てることがあったの?」と状況を尋ねる言葉を投げかけると、「お友達と鬼ごっこをしていた」「おもちゃで早く遊びたかった」など子どもなりに理由を伝えてくれます。
理由を聞くと「鬼ごっこはお外でしようね」「おもちゃは急がなくてもたくさんあるからね」と大人も冷静に分かりやすく伝えることができますよね。
そんなに怒らない!→どれくらい怒ってる?
子どもは自分の気持ちがよく分からなかったり、言葉で上手く伝えられないことがよくあります。
そんな時、「そんなに怒らない!」と一蹴されてしまうと気持ちのやり場が無くなり、余計に怒ったり、泣き出したりするケースも。
大人だってイライラしている時に「そんなにイライラしないで」と言われると余計にイライラが募ってしまうこともありますよね。
少し落ち着いたタイミングで「どれくらいイヤな気持ちだった?」「怒りたくもなるよね」と声をかけてあげましょう。
勝手に使わない!→使っていい?って聞いてみよう
お友達のものに手を伸ばして、勝手に使ってしまうことってよくありますよね。
お友達のものを勝手に使ってしまうと、また喧嘩が始まっちゃうかな・・・という意識からつい「勝手に使わない!」と先取りして注意してしまうことはありませんか?
「勝手に使わない!」と注意すると、その場は収まってもまた別のタイミングで同じようなことを繰り返してしまいます。
「貸してって言おうね。いいよって言われたら使えるよ」と繰り返し伝えてあげることで、
- 人の物は勝手に使わない
- 使いたい時は、相手にことわる
ことが意識できるようになります。
【保育士必見】子どもに伝わる否定語から肯定語への言い換え一覧
子どもに伝わる否定語から肯定語への言い換え方を一覧にまとめました。
- なんで言うことを聞けないの?→「〇〇してね」「〇〇してくれて嬉しいよ」
- グズグズしない→「ゆっくりゆっくり」「〇〇競争してみよう」「誰が早いかな?」
- それは違うよ→「そういう考えもあるね」「いい考えだね」
- 汚さないでね→「あとで一緒にお掃除しようね」「水道できれいに洗ってみる?」
- もっと食べて→「おいしかったね」
- 失敗しないように気を付けて→「失敗しても大丈夫だよ」「(失敗したら)おしい!」
- やればできる→「頑張っているね」「頑張っているの見ているよ」
- ここができていないよ→「ここまでできたね」
- 〇〇君に謝りなさい→「何があったの?」
- 走らない・危ない→「止まって」「ストップ」
保育士が否定語を肯定語に言い換えるメリット
保育士が子どもと接するときに、否定語を肯定語に言い換えるメリットについて解説します。
- 子どもの経験値を上げることができる
- 子どもも保育士も落ち着いた気持ちで過ごせる
- 子どもの自己肯定感を高められる
子どもの経験値を上げることができる
否定語を肯定語に言い換えることで、子どもはどんどん経験値を上げることができます。
子ども、大人が思っている以上に経験値が少なく、戸惑うことも多いです。
「走らない」だけでは、その場でどういう行動を取るべきなのか分からなかった子どもも、「お部屋では歩こうね」と伝えるとそれが経験として蓄積されます。
こうした経験を積み重ねていくことで、次に同じ場面に出くわしたとき、どう行動を取ればいいのかを考え自分で行動に移すことができるようになります。
その後、子どもがお部屋の中を歩いている場面を見かけた時にはすかさず褒めてあげましょう。
〇〇君お部屋の中歩けてるね!かっこいい!!
すると子どもは・・・
お部屋の中を走ったら、お友達とぶつかって危ないもん!
得意げに応えてくれるはずです(笑)
子どもも保育士も落ち着いた気持ちで過ごせる
「静かにして!」「そこは危ない!」と毎日のように怒っていると、そんな自分の姿に自己嫌悪したり、子どもに伝わらないことで保育士としての自信を失いかけていたり・・・こんな経験はありませんか?
子どもも同じで、注意や頭ごなしの否定ばかりされているとイライラした気持ちが募ったり、落ち着かなくなってしまうもの。
否定語を肯定語に変え伝え続けることで、子どもは自然と望ましい行動を覚えていきます。
私は先輩保育士から、「一生懸命注意しなくても大丈夫、子どもは敏感だから大人の怒りや不安定な様子を敏感に察知してしまうもの。どーーんと構えてみて!」とアドバイスを受けたことがあります。
まさにその通り・・・
大人の様子は子どもに伝播します。
焦りやイライラはもちろん、楽しい気持ちや穏やかな様子も。
このアドバイスを受けてから、ささいな事で注意し過ぎずその代わり、望ましい行動を肯定語で伝える、褒めることを実践しました。
何度も注意する必要がなくなるため、保育士も子どもも穏やかで落ち着いた気持ちで過ごせるようになりますよ。
子どもの自己肯定感を高められる
子どもの自己肯定感を高めるには、
「ありのままの子どもの姿を認めてあげること」
「子どもの良いところに気づき、頑張っている姿や成長した様子を伝えてあげること」
「自分でできたという感覚を味わうこと」
が大切です。
肯定的な言葉を投げかけ、正しい行動を伝えていくことで子どもは「できた」という感覚を味わうことができます。
正しい行動が増える→注意することが少なくなる→保育士の心にも余裕が生まれる
という良い結果に。
心を落ち着け、気持ちに余裕のある状態で保育ができるため、子どもの話によく耳を傾けられるようになります。
子どもは肯定的な言葉がけや、話をよく聞いてもらえていると「認められている、受け入れられている」という感覚を得ることができるため、自己肯定感がどんどん高まっていくことが期待できます。
1人を褒めるとなぜか、周囲の子どもたちも褒められようと望ましい行動を取る姿も。
〇〇君、ボールいっぱいお片付けしているね。すごいね!ありがとう♪
ぼく、お片付け上手っていつも褒められるから任せて!
わたしもできるよ!
お!〇〇ちゃんもできる??すごいね!助かるよ♪
なかなか進まなかったお片付けも、1人を褒めると、それぞれが「僕もできる」「私もできる!」とみるみるうちにはかどっていきます(笑)
子どもとの信頼関係を築ける
否定語を肯定語に言い換えることを繰り返すと、子どもとの関係性が積み上がり信頼関係を築けるようになります。
「〇〇しないで」「そこは危ないよ」と注意ばかりしていると、いつの間にか子どもが自分の元から離れてしまった・・・という経験はありませんか?
子どものためを思って言っていたつもりが、子どもを委縮させたり怖がらせたり、時には傷つけてしまっていることも。
大人でも職場や家庭で否定されると、傷ついたり、その人の前で委縮したり、自分自身を否定されたような気持ちになることはありませんか?
逆にいつも褒めてくれたり、失敗しても優しくフォローしてくれる人と仲良くなったり、その人の前では自分らしくいられますよね。
子どもも同じです。
肯定語をたくさん投げかけることで、「自分のことをよく見てくれている」「認めてくれている」という感覚がもてるため「この先生が好き」「この先生と一緒なら大丈夫」と信頼関係が築けていきます。
保育士が否定語から肯定語に言い換えるときのポイント
無意識のうちに否定語を使っていると、とっさに肯定語に切り替えるのは難しく感じてしまいますよね。
ここでは、保育士が否定語から肯定語に言い換えるときのポイントをお伝えします。
- 「とってほしい行動は何か」を考える
- 否定語→肯定語に言い換えた時に理由も伝える
「とってほしい行動は何か」を考える
否定語を肯定語に言い換えるためのポイントは「とってほしい行動は何か?」を考えることです。
とってほしい行動を分かりやすくしたものが、「肯定語」です。
はじめのうちは、ついつい否定語を使ってしまうこともあるかもしれません。
落ち着いてから、自分がどんな否定語を使ったのか、その場面でどういう行動をとってほしかったのか、適切な肯定語は何かを振り返り次回に活かしましょう。
私も「否定語→肯定語」を意識的に取り組んでいる今でも、つい否定語を使ってしまうこともあります。
反省→実践を繰り返していると、否定語を使ってしまった時すぐに「しまった!」と思えるようになってきたので「少しずつ成長している」と自分を認めてあげています(笑)
否定語→肯定語に言い換えた時に理由も伝える
否定語から肯定語に言変えた時、余裕があればその理由も伝えましょう。
例 肯定語:「電車ではお口を閉じておこうね」
理由:電車で寝ていたり、お話の声がイヤな人もいるからお口は閉じておこうね
なぜダメなのかを伝えてもらったほうが、子どもも理解しやすいです。
理解力が深まっていくと、子ども自身がその理由に納得し行動を変えることができるようになります。
大人は理由を考えずとも、これまでの経験から自然と行動に移すことができるため、改めて”なぜダメなのか”を伝えるのは難しいものです。
私も慣れないうちはとっさに言葉が出てこないこともよくありました。
通勤中や休みの日に、目についた知らない子どもの望ましくない行動に対して、心の中で注意したり伝え方の練習をしていました(笑)
保育士必見!子どもに伝わる否定語から肯定語への言い換え方を徹底解説!に関するよくある質問
最後に、否定語から肯定語への言い換え方についてよくある質問にお答えします。
否定語が子どもにあたる影響は?
否定語は、子どもに次の影響を与えることがあります。
- 自己肯定感を下げる
- 委縮させる
- 経験の幅が広がらない
保育用語で「ふざける」の言い換え方は?
「ふざける」は次のように言い換えできます。
- 興奮する
- 大きな声を出す
- はしゃぐ
保育日誌に使える「注意する」の言い換え方って?
保育では、「注意」という言葉ではなく、「指導」という言葉を使います。
【注意の意味】目の前のことに対して指導する・誤りを指摘する
【指導の意味】教えて、正しい方向へ導くこと
「注意する」は次のように言い換えできます。
- 指導する
- 声をかける
- 〇〇と伝える
保育用語で「ちょっかい」の言い換え方は?
「ちょっかい」は次のように言い換えできます。
- (自分から)関わりをもとうとする
まとめ:保育士必見!子どもに伝わる否定語から肯定語への言い換え方を徹底解説!
この記事では、現役保育士が子どもに伝わる否定語から肯定語への言い換えテクニックについて解説しました。
否定語に慣れていると、肯定語に切り替えることに苦戦することもあるかと思います。
できない自分を責めず、ご自身の言動を振り返りながら少しずつ肯定語を意識できるようになりましょう。
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